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特定健診の結果の見方、読み方

メタボ健診(特定健診・特定保健指導)を受けられた方へ

ここでは、健診結果の読み方をお話しします。ぜひ、知っておいてほしいのは、今回の結果だけで判定するもではなく、過去の結果と比較して、どのように数値が変化してきたのかを観察することが極めて重要だということです。糖尿病を例にとると、発症する10年くらい前から、正常範囲内であっても、少しずつ数値が上昇しているケースが少なくありません。前年と比べ体重が増えた場合も、血糖値、中性脂肪値や尿酸値、γ-GT(γ-GTP)値、GPT(ALT)値などが正常域であっても増加していることがしばしばあります。基準値を1超えたから突然病気になるというわけではありません。基準値の上限(あるいは下限)に近い場合は注意する必要があります。検査の異常値がどのような生活習慣と関連し生じているのかを考え、生活習慣を改善していくことが必要ですので、その点にも触れるようにしています。

もう1つ重要なポイントがあります。健診は通常空腹時で採血しますが、血糖値が食後だけ異常値を示す場合があります。糖尿病の場合、健診で見つからないので隠れ糖尿病とも呼ばれています。空腹時血糖値だけでは見逃され、食後血糖値を測定してはじめて診断されます。糖尿病の45%が隠れ糖尿病、予備軍の65%が隠れ糖尿病予備軍と言われております。中性脂肪値が食後だけ異常値になる食後脂質異常症(高脂血症)、日中の血圧は正常なのに、家庭血圧計で測ると起床時が高かったりする仮面高血圧もしばしば見られます。これらは、内臓脂肪が多い場合に見られることが多いので、腹囲が基準値をオーバーした場合は血糖、脂質、血圧が正常域にあっても食後2時間の血液検査も受けておかれることをお勧めします。かかりつけ医の先生にあらかじめ頼んでおき、食後(食事開始後のことを言います)2時間の時点で採血してもうといいでしょう。糖尿病、高血圧、脂質異常症の疑いがあって検査を行うときは、健康保険がききます。

2008年から健診項目は血糖値、脂質、血圧の異常をみつけるのを主眼としたメタボリックシンドローム健診(通称)に変わりましたが、病気はこれだけではありません。日本人の3人に1人は癌で亡くなっています。助かっている方も少なくないので、癌になる人はもっと多いということになります。メタボリックシンドロームでは大腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌が増加することが明らかになっています。糖尿病でも癌が増加します。例えば大腸癌は3.2倍なりやすくなります。癌検診も受診しておく必要があります。幸い、日本人に多い癌は、検診で早期にみつかることが多い癌です。胃癌、大腸癌、男性ではさらに前立腺癌、女性では乳癌、子宮癌の検査は受けておくべきでしょう。

メタボ健診の判定の仕方

空腹時血糖値が126 mg/dl以上、中性脂肪値が300 mg/dl以上、HDL(善玉)コレステロール値が35 mg/dl未満、血圧が140/90mmHg以上は受診推奨になります。その場合、糖尿病は直ちに医療機関紹介となります。高血圧、脂質異常症は医療保険者側の判定医の判断で生活習慣の改善を優先することができます。

健診結果により、情報提供、動機付け支援、積極的支援、受診勧奨に分かれます。

メタボ健診検査項目の判定値

項目名 保険指導判定値 受診勧奨判定値 単位
血圧(収縮期) 130〜 140〜 mmHg
血圧(拡張期) 85〜 90〜 mmHg
中性脂肪 150〜 300〜 mg/dl
HDL−C 〜39 〜34 mg/dl
LDL−C 120〜 140〜 mg/dl
空腹時血糖 100〜 126〜 mg/dl
HbA1c 5.6〜 6.5〜 %
AST(GOT) 31〜 51〜 lU/l
ALT(GPT) 31〜 51〜 lU/l
γ-GT(γ-GTP) 51〜 101〜 lU/l
血色素(男性) 〜13.0 〜12.0 g/dl
血色素(女性) 〜12.0 〜11.0 g/dl

●ステップ1

まずは腹囲により3つに分類します。腹囲が男性85 cm以上、女性90 cm以上あれば@、それ未満であってもBMIが25以上であればA、それ以外をBとします。

●ステップ2

リスクを合計します。1.血糖(空腹時血糖値100mg/dl以上、またはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)5.9%以上、または薬物治療中2.中性脂肪値150 mg/dl以上、またはHDLコレステロール値40 mg /dl未満、または薬物治療中3.血圧(収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上、または薬物治療中4.喫煙歴(あり、ただし1から3のリスクの合計が1つ以上の場合のみカウントします)

●ステップ3

グループ分け@の場合、リスク合計が0の場合は情報提供、1つの場合は動機付け支援、2つ以上の場合は積極的支援になります。Aの場合は、リスク合計が0なら情報提供、1つないし2つなら動機付け支援、3つ以上なら積極的支援になります。Bの場合は情報提供になります。簡単に言うと、肥満以外のリスクが出始めたら動機付け支援、肥満以外のリスクが重なり始めたら積極的支援ということになります。

体格指数

体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値をBMI(Body Mass Index)、体格指数といいます。通常、肥満はこの数値で判定します。25以上が肥満、18.5未満がやせということになります。22のあたりが、最も病気になりにくいといわれています。体重には日内変動があります。当然のことですが、朝トイレに行く前と行った後で500g以上違います。朝食を摂ると、味噌汁や食後のお茶の重さも加わりますから、前後で1kg程度増えます。体重を量るときはいつも同じ条件で比較する必要があります。よく1日で1kg痩せたという人がいますが、条件が同じでないことが原因です。

BMIで肥満を判断することには問題点があります。筋肉質の人は肥満でなくてもBMIが高くなります。体脂肪率で肥満を判断する方法もあります。一般に男性では25%以上御、女性では30%以上を肥満としていますが、通常の健診では、測定しません。家庭用体重計で量れるものもありますが、日内変動があります。午後5時ごろの数値との相関がいいようです。私は180cm、77kgでBMI23.8と多めですが、基準体重より脂肪は0.5kg、筋肉は5.5kg多く体脂肪率は17.5%しかありません。

腹囲

肥満には皮下脂肪型肥満と内脂肪型肥満がありますが、生活習慣病と関連するのは、内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪が増えると血圧が高くなったり、中性脂肪値が増えたり、血糖値が高くなったります。

この内臓脂肪型肥満かどうかは、腹部のコンピューター断層写真(CT)を撮り、内臓脂肪の面積が100cu以上あるかどうかで判断しますが、もっと簡単に調べる方法があります。それが腹囲です。男性で85cm以上、女性で90cm以上あれば内臓脂肪型肥満と判断します。お臍の部位で軽く息をはき計測します。女性は一般に皮下脂肪が多いので、基準値が男性より5cm多いと考えたらいいと思います。

一方で、女性は腹囲の基準を80cmとしたほうがいいという意見もあります。海外の基準でも、女性の数値が低く設定されています。80cmを超えたら、注意してください。腹囲の問題点として誤差の大きいことが指摘されています。同じ受診者を同時に何人かの測定者が計測すると数センチの違いが生じるのです。

通常体重が1kg減ると腹囲は1cm減ります。日本肥満学会ではメタボの方を対象に体重を3kg、腹囲を3cm減らすサンサン運動を行っています。

血圧

メタボ健診では上の血圧と呼ばれる最高血圧が130mmHg以上か、下の血圧呼ばれる最低血圧が85mmHg以上であれば高いと判定します。日本高血圧学会の基準では最高血圧が130〜139mmHgまたは最低血圧が85〜89mmHgを正常高値血圧、いずれかがそれより上であれば高血圧としています。血圧は緊張すると上がります。ゆっくり深呼吸しながら測定するといいでしょう。メタボの場合は起床時に高い早朝高血圧が多くみられます。家庭用血圧計でチェックする必要があります。家庭血圧の高血圧の診断基準は135/85mmHg以上です。

糖代謝(尿糖・空腹時血糖値・HbA1c)

●尿糖

糖尿病を診断するための検査です。通常、血糖値が170mg /dl以上になると尿に糖が出るようになります。糖尿病の患者さんでも空腹時の血糖値がそれ以上のケースは少なく、空腹時の尿糖は糖尿病の早期の診断には使えません。空腹時に尿糖が出るようであれば、通常、血糖値がかなり高いということになります。腎性糖尿といって、血糖値が高くないのに尿に糖が出てしまう方がおられますが、これは糖尿病ではありません。

尿糖の検査が威力を発揮するのは、食後の検査です。食後3時間、尿を我慢して頂いてから検査します。この検査で尿糖が陽性ですと糖尿病の疑いがありますので、ブドウ糖負荷試験を行う必要があります。逆に、この検査で尿に糖が混じっていなければ食後血糖値は170mg /dl以上には上がっていないということになります。糖尿病の治療中の方は、食後の尿糖が陰性になるのを目安にすることができます。高齢者では尿に糖が出る閾値が上昇するため、尿糖検査を過信しないほうがいいでしょう。

●血糖値

血糖値は採血時の瞬間値です。食事の内容や食べてからの経過時間により変わります。食後血糖値が重要なのですが、健診は条件を一定にするため空腹時に行います。基準値は100mg /dl未満です。126mg /dl以上を糖尿病型と判定します。100〜109mg /dlは正常高値、110〜126mg /dlは境界型です。肥満歴がある、腹囲が大きい、親、兄弟に糖尿病の方がいる、高血圧があるなど糖尿病になりやすい素因を持っている方は是非、食後の血糖値を測ってみてください。食後2時間値が基準となります。140mg /dl以上は要注意です。

●HbA1c

血糖値が瞬間値なのに対して、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は平均値といってもいいでしょう。最近の1〜2ヶ月の血糖値の平均を表します。糖化ヘモグロビンともいいますが、赤血球に含まれ、酸素を運搬しているヘモグロビンにどれくらい糖がくっついているかをみます。蛋白質には糖がくっつく性質があります。ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビン(蛋白)からできていますが、このグロビンに糖がくっつくのです。赤血球の寿命は120日間(4ヶ月)なので、この間の血糖値が反映されます。関与する割合は最近の1ヶ月が半分、その前の1ヶ月が4分の1、その前の2ヶ月が4分の1ということになります。おおよそHbA1c1%は平均血糖値35mg /dlに相当していますが、個人差があります。 以前の基準値は空腹時血糖値が110mg /dl未満、HbA1cが5.9%未満でしたが、この値だと食後のみ血糖値の高い方が見逃されてしまいますので、食後血糖値の140mg /dl以上に相当する値ということで、空腹時血糖値が100mg /dl、HbA1cが5.6%未満とより厳しい数値に変更になったわけです。境界型からは毎年3〜7%の方が糖尿病に移行していきます。境界型そのものが、心筋梗塞、脳梗塞を起こしやすくしますので、既に病気の状態と捉えたほうがいいでしょう。

脂質代謝(LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値)

脂質代謝に異常をきたした場合、従来「高脂血症」といっていましたが、2007年度の改定で「脂質異常症」という名称に変更になりました。善玉コレステロールと呼ばれているHDLコレステロール値の場合は、高いほうがいいので、高いとすべて悪いというニュアンスを持つ「高脂血症」の名称が改められたわけです。

心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化は、悪玉といわれるLDLコレステロールが血管の内膜に溜まったものです。中性脂肪も糖も血管壁には溜まりません。しかし、中性脂肪値や血糖値が高いとLDLコレステロールが血管の中に取り込まれやすくなります。他の動脈硬化の危険因子として、喫煙、高血圧、肥満、ストレスなどがありますが、皆同様にLDLコレステロールと取り込みやすくします。メタボリックシンドロームの判定基準に含まれる項目は皆、LDLコレステロールを取り込みやすくする因子です。内臓脂肪が増えてもLDLコレステロールは増えませんが、中性脂肪が増え、HDLコレステロール値が減ります。LDLコレステロール値はメタボリックシンドロームの診断基準に含まれていませんが、メタボの人はしっかり下げておく必要があります。

従来総コレステロール値が主として用いられていましたが、これにはHDLコレステロールとLDLコレステロールの両者が関与します。HDLコレステロール値が高くて、総コレステロール値が高くなっている方も1割くらいおられますので、総コレステロール値は健診項目からはずし、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値で判断するようになりました。

HDLコレステロールは血管の中に溜まったLDLコレステロールを取り除く作用があります。LDLコレステロール値の基準は120mg /dl未満、HDLコレステロール値は40mg /dl以上、中性脂肪値は150mg /dl未満です。中性脂肪値は300mg /dl以上の場合、受診勧奨になります。中性脂肪値は食後12時間は高くなっている可能性があります。したがって、前日の夕食が遅かったり、過剰に摂取したり、深酒すると高くでることがあります。中性脂肪値はメタボ以外でも清涼飲料水、アルコール、甘い菓子、果物の摂りすぎ、動物性脂肪の過剰摂取(特に夕食)、遅い夕食の習慣などで上がります。ご飯などの主食を摂りすぎただけでは、あまり上がりません。アルコールの場合はγ-GT(γ-GTP)や尿酸値の上昇がみられることも少なくありません。動物性脂肪の過剰摂取の場合は、LDLコレステロール値が上昇していることもあります。脂質異常症の項で詳しく解説していますので、参照してください。

肝機能検査

健診受診者の25%に肝機能の異常が認められます。アルコールによるアルコール性肝疾患も増えていますが、肥満者の増加による非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)が増えたのが最も大きな要因です。このNAFLDは健診受診者の7%、肝機能障害を認める患者の30%にみられ、メタボリックシンドロームとも密接に関連し、脳心血管疾患のハイリスク群と考えられています。メタボ健診項目に入っているのはそのためです。内臓脂肪から分泌される悪玉ホルモンはまず肝臓に入ってきてますので、肝臓は最もメタボの影響を受けやすい臓器といえます。内臓脂肪が分解された遊離脂肪酸も肝臓に大量に入ってくるため、肝臓での脂肪の代謝が亢進し、活性酸素が大量に作られます。そして、ただの脂肪肝から肝硬変や肝癌に進展する可能性を持った、より重症の非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)へと進展します。

GOTやGPTが高い時にどのような病気を考えたらよいでしょうか?新健診では基準値はどちらも31IU/I未満で、51IU/I以上は受診勧奨となっていますが、私はGPT25IU/I以上の場合、明らかに、肝臓に何か異常が起きていると考えます。一番多い原因は、最近著増している脂肪肝です。肝臓に25%以上脂肪がついた状態で、通常GPT>GOTです。メタボやアルコールでも脂肪肝になりますが、遅い夕食や夕食の過剰摂取が関与しているケースが少なくありません。通常の脂肪肝は比較的問題ないのですが、一部の方は脂肪性肝炎になり、肝硬変、肝臓癌へと進行する可能性が出てくるので、注意する必要があります。既に、この脂肪性肝炎になってしまっている方は100万人以上いると言われています。

アルコールによる肝障害は体重1kgあたり1mgのアルコール(60 kgの人の場合60 mg、ビールなら大瓶2本、ウイスキーならダブル2杯)を3週間続けたら起こるとされています。次に多いのが、C型肝炎、B型肝炎、A型肝炎などのウイルス性肝炎です。肝機能異常を指摘されたら1度は受けておくべき検査です。これらの肝炎は感染後一定の潜伏期の後、急性肝炎として発症します。「体がだるい」「食欲がない」「微熱」といった症状がでます。いつも元気な人が、ソファでよく休んでいるなどといったことでみるかるケースも少なくありません。潜伏期はA型が1ヶ月くらい、B型、C型はおよそ3ヶ月です。C型肝炎の患者さんは、250万人いると言われています。

薬剤性の肝障害もしばしばみられます。薬を服用している場合のみでなく、健康食品やサプリメントでも起きます。中止すると軽快します。上記のいずれでもない場合、自己免疫性肝炎や、原発性胆汁性肝硬変も考える必要があります。

GOTやGPTの数値、GOT/GPT比は肝機能障害の原因を知るための指標になります。通常、急性肝炎では高くなります。脂肪肝、慢性肝炎ではGPT優位です。アルコール性肝炎、肝硬変、肝癌ではGOT優位になります。アルコールによる心筋、骨格筋由来のGOT増加もあります。多くの肝細胞が障害を受けると、肝細胞の数が減ってしまい、GOT、GPTもあまり上昇しなくなります。肝硬変では正常の時もあります。急性A型肝炎、B型肝炎は重症化し死亡率の高い劇症肝炎になることがありますが、この時も、肝細胞が破壊されつくされると逆に数値は下がってきます。

GOTはASTに、GPTはALTに、それぞれ正式の呼び名が変更になりました。国際命名基準により、従来の生成産物から命名されていた酵素の名前が、化学的性質を基にしたものに変更になったためです。

γ-GT(γ-GTP)

以前はγ-GTPと呼ばれていた酵素です。国際命名基準によりγ-グルタミールトランスペプチターゼ(γ-GTP)からγ-グルタミールトランスフェラーゼ(γ-GT)になりました。グルタミン酸の代謝に関係する酵素で、肝細胞の毛細胆管膜や胆管上皮に分布しています。

男女差があり、女性のほうが低値です。女性ホルモンが生成などを抑制していること、男性では精巣由来のものがあることなどが関係していると考えられています。腎臓、膵臓、精巣上体、心臓、肺、脾臓など多くの臓器に存在していますが、血清中のγ-GTは主として肝臓由来です。GOT、GPTが肝細胞の中に含まれている酵素であるのに対して、γ-GTは胆管細胞に含まれています。したがって胆石や胆のう癌などでも上昇します。しかし、最も多い原因は飲酒によるものでしょう。脂肪肝でも上がります。

個人差が大きく、アルコール飲用により増加しますが、禁酒後2週間で、半分の数値になります。高値を示した場合、肝胆道疾患が疑われる胆石症、胆管癌、原発性胆汁性肝硬変、常習飲酒者、脂肪肝などを疑います。膵炎、糖尿病、心筋梗塞、腎疾患、慢性閉塞性肺疾患でも増加します。基準値は51IU/I未満です。101IU/Iを超えたら受診勧奨となります。以前のデータとの比較が重要です。前年度に比し、理由もなく顕著に増加したら、精査必要があります。非飲酒者では40IU/I以上は異常と考えていいでしょう。1日2合未満の飲酒では通常55IU/I以下です。

アルコールを飲まれている方は、決して100IU/I以上にはならないように気をつけましょう。メタボリックシンドロームでも上昇します。

抗痙攣薬、抗てんかん薬、睡眠薬、向精神薬などの常用でも増加します。

尿蛋白

尿蛋白は主に腎臓を診る検査です。通常、尿に蛋白が出れば慢性腎炎の可能性があります。動いたときだけ出る蛋白(起立性蛋白尿)は問題ありませんので、まずは起床時の尿に蛋白が出ているかチェックします。これは、判定医の指示に従ってください。

血算

メタボ健診では、過去に貧血の既往がある場合や、現在、貧血が疑われる場合は血算の検査を行います。白血球数、赤血球数、血色素(ヘモグロビン値)、ヘマトクリット値を調べます。

白血球は細菌感染を防ぐ血球です。活性酸素により、細菌の細胞膜を破壊します。細胞膜のないウイルスには効きません。免疫に関与しているリンパ球も白血球の一種です。白血球が増える場合は、肺炎や膀胱炎など細菌感染のことが多いのですが、喫煙でも増えます。禁煙すると正常値に戻ります。逆に白血球が減る場合は、膠原病など免疫が関係した疾患でリンパ球が減っている場合に多く見られます。女性は健常人でも低い方が少なくありません。

赤血球数、血色素(ヘモグロビン値)、ヘマトクリット値は貧血を調べる検査です。この中で一番重要なものは、実際に酸素を運搬する血色素(ヘモグロビン値)です。基準値は男性では13g/dl以上、女性では12g/dl以上です。

貧血にはいくつかの種類があります。赤血球が小さい貧血、大きい貧血、大きさは正常のものに大別できます。小さい貧血の代表が鉄欠乏貧血です。生理が多い女性、子宮筋腫、胃潰瘍からの出血などでみられますが、癌でもこのパターンをとります。

赤血球が大きくなる貧血は大球性貧血といいますが、胃切除などが原因でビタミンB12や葉酸が欠乏した時に起こります。ヘマトクリット値を赤血球数で割った値(MCV)が100fl以上であれば大球性貧血、82fl以下であれば小球性貧血、その間は正球性貧血ということになります。正球性は赤血球が作られなくなる再生不良性貧血などでみられます。赤血球のもとになる網状赤血球が骨髄で作られますが、出血の場合は補うためにどんどん作られますので、網状赤血球数は増えます。骨髄での造血が減ると網状赤血球数も減ります。

心電図検査

メタボ健診では、肥満で血圧、脂質、血糖値のすべてに異常が見られた場合、医師の判断で任意に心電図の検査ができます。狭心症や心筋梗塞等の虚血性心疾患や高血圧による心肥大を見つけるのが目的です。不整脈などもみつかります。

理解しやすいように、心電図の波形について簡単に触れます。心臓は意識しないでも動いてくれます。これは、心房にある洞房結節というところから、規則的に刺激が出ることにより始まります。心電図のP波に相当します。これが左脚と右脚を伝わって心室に届くと心室の収縮が起こり、全身に血流が送り込まれます。Q、R、S波に相当します。心電図は12誘導とりますが、みている方向により電気の流れが逆になり、近づいてくれば上を向きR波、遠ざかれば下を向きQ、S波になります。収縮を終えて元に戻るとT波がでます。

ST低下、陰性T波などの所見は心筋の酸素欠乏を表し、「狭心症の可能性あり」、「心筋虚血の疑い」などと記載されます。胸痛などの症状がないと心電図だけでは診断できません。

動脈硬化に伴う狭心症は運動時にたいてい胸痛が起こり、普段の心電図に異常がでないことも多く、発作時の心電図をとる必要があります。そのために負荷心電図や、ホルター心電図を行います。

心筋梗塞を起こすと心筋が壊死に陥り、心電図に変化が起こり、ずっと残りますので、以前にやった心筋梗塞もある程度わかります。異常Q波などの所見がでます。このような変化は健常人でも見られることがありますので、心筋梗塞を起こした既往がない場合は「陳旧性心筋梗塞の疑い」などと記されます。陳旧性というのは「以前にやった」という意味です。高血圧や心筋症などで心肥大があるとT波が増高します。左室肥大などと記載されます。

その他、心電図でよく記載される所見につきお話しておきましょう。

●不整脈

心房性のものと心室性のものがあります。心房性のものは良性が大半ですが、心房細動は脳梗塞を起こす可能性があり、医療機関を受診し治療を受ける必要があります。心室性の大半は心室性期外収縮です。規則正しい波形の合間に、時々心室から出た刺激による波が混じります。健常人でも出ていることが少なくありません。通常問題ありませんが、連発して出る場合など危険なケースもあり、24時間心電図をチェックしておく必要があります。

●脚ブロック

心房から出た刺激は右脚と左脚に分かれ心室に伝わりますが、右脚のほうが伝わる速度が遅い場合、右脚ブロックといいます。軽い場合、不完全右脚ブロックといいます。いずれの場合も通常問題ありません。左脚ブロックは問題がある場合がありますので、かかりつけ医に相談してください。

●頻脈、徐脈

脈拍が1分間に100回を超えると頻脈、60回をきると徐脈といいます。頻脈の場合は貧血や甲状腺機能亢進症の場合があります。徐脈は甲状腺機能低下症などの場合もありますが、ジョギングなどの運動をされている方でもしばしば見られます。夜間、寝ている時に脈拍は最も少なくなりますので、24時間心電図でこの時間帯をチェックしておきます。脈の間隔が2.5秒以上空くと血栓ができることがあります。

眼底検査

眼科で発見される糖尿病が15%くらいあります。糖尿病性網膜症や緑内障が眼底検査でみつかることもありますが、通常メタボ健診の眼底検査は動脈硬化や高血圧による血管の変化を観察するのが主目的です。体の外から血管が見えるのは、目の血管だけだからです。

健診結果の眼底検査の項をみると、H1S1とか記載されていると思います。このHはHypertension(高血圧)、SはSclerosis(動脈硬化)の略です。H、Sともに重症度により、0から4に分類されます。0は異常なし。1は軽度の異常です。

まず、目の構造について簡単にお話ししましょう。レンズの役目をしているのが水晶体、スクリーンの役目をしているのが網膜です。高血圧があると網膜の血管のうち、動脈の径が細くなります。静脈の太さは変わりませんから、この比をみれば高血圧があるかどうか、ある程度わかるというわけです。動脈と静脈が交差した部分で判定します。この所見は血圧が下がると改善します。

さて、次に動脈硬化ですが、目の血管が動脈硬化により硬くなると光の反射が強まります。反射している部分の比率が大きければ大きいほど、血管が硬いということになります。50%を超えたら硬いと判定します。さらに、硬くなると反射が強まり、銅線や銀線のように見えるようになります。動脈硬化の時にみられるもう1つの所見は交差現象です。動脈と静脈の交差部位に注目します。この部位では動脈と静脈の外膜が共有されていますので、動脈が硬くなると、軟らかい静脈が引っ張られて、径が細くなるという現象が起こります。これが交差現象です。どれくらい細まったかをみます。さらに硬くなるとよじれて直線でなくなります。動脈硬化は反射と交差現象の2つをみて、判定します。ただ、注意しなければならないのは、反射は光の強さや瞳孔の開き具合などによって変わってくることです眼底写真だけで、動脈硬化を診断することはありません。現在は超音波装置を用いて、頸動脈の血管の厚さを測り、動脈硬化をより正確に測定することができます。

私が診ている患者さんで、心筋梗塞や脳梗塞を起こされた方の健診での眼底所見を振り返ってみても、S1程度の方が少なくありません。S1だから軽いから大丈夫とは思わないでください。

※メタボ健診には含まれないが、是非受けておきたい検査

血清クレアチニン(男性1.1 mg/dl以下、女性0.8 mg/dl以下)

クレアチニンは筋肉の分解産物で、運動をした後で増えますし、筋肉質の人では高くなります。そのため男性のほうが女性より高くなります。性別とクレアチニン値から、おおよその腎機能を推定することができます。45歳以上の男性では、1.0 mg/dl、40歳以上の女性では0.8 mg/dlを上まわると、本来の腎機能の60%をきることになり要注意です。この数値は85歳以上の男性の場合は0.9 mg/dl、80歳以上の女性では0.7 mg/dlになります。腎機能が障害されていると、動脈硬化が進みやすくなることが明らかになり、注目されています。塩分は酸化ストレスにより、腎機能障害を進めます。

蛋白尿が出ていないのに、クレアチニン値だけが上がるケースでは、高血圧あるいは薬物、健康食品などが関与している場合があります。クレアチニン値の上昇は腎機能の障害を示しており、放置すると、将来、人工透析に移行する可能性があります。医療機関を受診し精査してください。
 

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